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#6『ケン・リュウ短編傑作集1 紙の動物園』(ケン・リュウ/ハヤカワ文庫 SF)

 久しぶりに読む海外作家のSF作品だった。

作者はケン・リュウ先生。今世界中のSFファンがもっとも注目している期待の新鋭作家らしい。正直、名前にうっすらと聞き覚えのある程度だったが、又吉さんの帯を見て買うことを即決した。

 

この本には表題作である『紙の図書館』を含む7作品が収められている。

 

その中でもっとも深く刺さってきた作品『太平洋横断海底トンネル小史』を紹介しておこうと思う。

 

中日全面戦争の可能性が回避され、帝国への“平和的上昇”を掲げた日本。世界恐慌に対する経済対策として、日本側はアメリカに対して、大西洋横断海底トンネル構想を持ちかけ、合意を得る。その結果、世界大戦の惨禍を回避した世界である。そこで働いていた台湾人チャーリーを通して語られる知られざる歴史は、戦前日本のアジア人炭鉱労働者を思わせる。

 

今回収録されている7作品を通して感じたのは、登場人物が抱くある種の無力感(異なる文化に所属しているものの間においては決して理解し合うことはない)である。

 

この作品と触れ合うことで我々は、異なる文化や文明基盤に属する集団同士の相互理解の難しさというテーマを登場人物を通して突きつけられることになるだろう。だがそれは、今我々が世界を見る際に越えていかなければならないテーマなのではないだろうか。

#5『猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセッット1』(河野祐/角川文庫)

実写映画が公開され、アニメもスタート、漫画版もスタートした(らしい)河野祐先生の『サクラダリセット』の第1巻。

『階段島シリーズ』で先生の文章のファンになった僕は早くこの作品を読みたかった。でも、店員に映画化するからとか思われたくないという謎の葛藤に苛まれながらようやく手にした。

 

様々な能力者を抱える咲良田という街を巡る、世界を3日間巻き戻すことのできる能力・リセットを持つ少女春埼美空と見聞きしたことを絶対に忘れない能力を持つ少年淺井ケイの物語である。

 

ここまでだとよくあるSFかと思うかもしれない。確かに能力を使って世界を変えていくSF的な面白さも存在している。しかし、美空やケイ、そして彼らを取り巻く人物たちの心理描写がとても丁寧に描かれているのがこの作品の大きな魅力の一つであろう。

 

「僕は神さまになりたい。いちいち人に試練を与えたりしない、人間不信じゃない神さまに。お腹がすいている人にはパンをあげて、悲しんでいる人は幸せにする。毎日そんな仕事をして暮らしたい」

きっとそれは人の為なんかじゃない、もっとエゴイスティックな理由で。世界中から悲しみがなくなればいい。

 

p.110

場面的には、ただ取り留めもない話をする、というものだが、誰か他人の幸せを願うことは、その人のためではなく、願っている人のただの身勝手であると気づかされる。

ケイは過去のとある出来事を基にこのような考えをする。正しい・正しくないはそれぞれの考えだが、僕は重要な考えだと思う。

 

1巻目から相当楽しめた。このワクワクがあと6巻続くと思うととても楽しみである。

 

野村周平目当てに映画をみたみなさん、ぜひ原作小説を読んでください。この作品を野村周平かっこよかったで終えるのはもったいなさすぎる。読めばきっとあなたも河野祐先生の美しい文章の虜になるはず!

 

#4『火花』(又吉直樹/文春文庫)

芥川賞を受賞した際、僕はどうせ話題作りのための受賞だろうと一切手に取らなかった。(なんと偉そうなのだろうか。先生ごめんなさい)

そしてこの作品を読み終えた今、僕は過去の自分を全力でぶん殴りたい。土下座ものである。

僕は純文学をしっかりと読み始めたのは最近なので偉そうなことは言えないが、ラノベやキャラ小説などを好んで読んでいる人は難しいとか、何が面白いの?と感じるかもしれない。

 

物語は、売れない芸人の徳永と彼の師となった天才肌の芸人、神谷さんとの関係を中心として進んでいく。

 

売れっ子芸人で、読書家の作者。その言葉のセンスや観察眼はこの作品の随所で惜しみなく発揮されている。また、作者が言葉の一つ一つを大切にしているのも伝わってくるように思う。作中での主人公たちの掛け合いも面白い。

 

そして、あのラストである。誰がその結末を予想することができようか。作者ならではの独創的な発想にただただど肝を抜かれた。

 

『火花』は間違いなく、純文学である。

 

最後にもう一度。

先生本当にすいませんでした!

 

 

 

 

#3金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲(角川文庫)

赤川次郎有栖川有栖小川勝己北森鴻京極夏彦栗本薫、柴田よしき、菅浩江服部まゆみ(敬称略)の9名の作家が「金田一耕助」をテーマに競作したミステリー短編集。

 

金田一耕助本人をそのまま登場させるもの、ちょっと違う“キンダイチ”が登場するもの、あるいは意外な変化球までバラエティに富んでいる。

 

赤川次郎先生以外の作品は初読で、金田一耕助の知識もあまりなかったけど、すごく楽しめました。

 

でも、横溝正史先生の作品を読んでからの方が楽しめるかなと。

 

 

#2-1『都会のトム&ソーヤ』(はやみねかおる/KODANSHA)

春から大学生になる僕だが、今でも読み続けている児童書のシリーズがあります。それが『都会のトム&ソーヤ』シリーズ(はやみねかおる)です。

 

どんな状況下でも生還できるサバイバル技術を持つも、平凡な塾通いに追われる毎日を過ごす内藤内人(ないとうないと)と、大財閥「竜王グループ」の跡取りで学校創設以来の天才と言われる竜王創也(りゅうおうそうや)が都会を舞台に究極のゲームを作る為の冒険を繰り広げていきます。

 

文章は読みやすくすぐに引き込まれます。大人も楽しめる物語です。

 

創也が語る一生使わないであろう知識と内人の持つサバイバル技術も学べます。

 

それぞれの感想もゆくゆく書いていこうと思います

 

 

 

#1『倒れるときは前のめり』(有川浩/角川書店)

1冊目は僕が敬愛してやまない有川浩先生のエッセイ本です。

 

誰がなんと言おうが僕は有川先生を尊敬してるし、好きな作家さんだと言い続けます。(実際に本読んでくださったらここで僕が宣言している意味もわかってもらえるかと。)

 

この本にはこれまでに先生が書かれてきたエッセイ94本と、小説2編が収録されています。

 

東日本大震災の話、東京都青少年健全育成条例の話、出版業界の話、難聴者の話など、話題に上っては消えていく話を思い出し、考えるいいきっかけとなりました。

 

94本のエッセイの中から悩みに悩み厳選した3本を紹介します。

 

・読書は遊びだ(p.28〜)

東京都の青少年健全育成条例の改正案の話。

田舎の学生の僕はこの話を知らなかったんですけど、恐ろしい話だと。

出版社が集中している状況からやはり出版の中心は東京になる。その東京での条例は自主規制を招きかねない。

権力を振りかざす検閲があってはならないと思います。

「リアル『図書館戦争』」の世界にならないことを願います。

 

・書店はテーマパーク(p.126〜)

タイトルの通りです(笑)

正直これが一番共感しました。

さあ、リアル書店へ足を運びましょう!

 

・匿名の毛布(p.154〜)

ネット上での発言の問題。

匿名をいい事にモラルの低下を感じます。

言葉は利器にも凶器にもなる

匿名の毛布で自分を守る者への激しい警告とそれでも人間を信じる優しさの両方を感じさせる、そんな話です。

 

他にも心温まる話や有川先生のオススメ本など盛りだくさんです。

 

じっくりと味わい、考える。その価値が十分にあると思います。

ぜひ一読を!

 

言懐堂OPEN

初めまして。

言懐堂の主人、たふです。

 

言懐堂はブログ名で、実在する本屋ではありません。

 

 

僕が読んだ本や漫画の感想、本に関することなど書いていきたいと思っています。

 

素晴らしい本のことを伝えたい、共有したいと思い、ブログを開設しました。

 

至らぬ点等多々あると思いますが、よろしくお願いします!